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芝川家刊行文献「紫草遺稿」

「紫草遺稿」は、“紫草”・芝川又三郎の作文や日記、書簡などの遺稿を集めたもので、又三郎の父・二代目又右衛門が、日露戦争において戦死した息子の追善供養に作成したものです。又三郎の33回忌(昭和11年)を記念して、昭和9(1934)年に非売品として出版されました。

本書は乾・坤の2冊から成り、いずれも随分と傷んではいますが、表紙には芝川家の定紋「四ツ目」が打たれ、又右衛門の筆による題字が美しい、豪華な装丁です。

乾巻には、又三郎の出身校である京都帝国大学教授で法学士の織田萬氏による書(上)、坤巻には、松方海東氏*)書による「悼又三郎君詩」(下)の画像がそれぞれ掲載されています。

乾・坤合わせて770ページにも及ぶ本書は、「第一編 小学校時代」に始まり、「第二編 尋常中学校時代」、「第三編 志願兵及第五高等学校時代」、「第四編 京都帝国大学及日露戦役時代」と時期ごとに又三郎の文章が掲載されています。

また、「第五編 紫草遺稿付録」には日露戦争における南山戦況講和、従軍日記、談話、そして前出の織田萬教授、第五高等学校・武藤虎太教授から寄せられた文章が収められました。

本書は非売品として200部が印刷され、芝川家に関係の深い人々へ贈呈されたようです。

*)松方海東正義(1853-1924)
  大蔵卿・大蔵大臣を歴任し、第4代・6代の内閣総理大臣も務めた。
  海東は松方正義の号。その書は「弘法大師の真趣を得たり」と評価された。

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